タイトル

The rising phenomenon of circular cities in Japan. Case studies of Kamikatsu, Osaki and Kitakyushu

媒体

Science of Total Environment

URL

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0048969723036756

掲載年月

2023年10月

著者

Manuel Herrador氏(ハエン大学(スペイン))、Wil de Jong氏(京都大学)、Lorenz Granrath氏(早稲田大学)と弊社の那須清和による共著

目的

欧州中心に海外で進展するサーキュラーシティの動きを俯瞰し、日本に即したサーキュラーシティのあり方を探る。先行活動事例として、上勝町・大崎町・北九州市の循環型社会に向けた取り組みに焦点を当てる。

要旨

日本には自然を尊重する文化があるが、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中で日本は第7位の廃棄物排出国だ。日本の廃棄物リサイクル率はわずか19.6%で、埋め立てに回されるのは1%、残りは焼却されている。また、日本はOECD加盟国の中でも再生可能エネルギーの比率が低く(20%)、最近では原子力発電所の再稼働も決定している。

一方で、日本国内では地域における循環経済の取り組みが進展しつつある。これは、より野心的な循環経済の目標に向けた進展の可能性を示唆する。

循環型都市(Circular Cities, CC) は、廃棄物を最小化し、効率を最大化し、持続可能性を促進するために資源を管理するという循環経済(Circular Economy, CE)の原則を体現する都市である。循環都市の考え方は、日本でも浸透しつつある。本研究では、まずトップダウンのアプローチで循環都市を一般的な視点から評価し、その後、日本の状況における適用を検討し、3つの具体的な事例と対比する。

日本における循環都市は、循環型経済の原則を用いることで、ウェルビーイングや経済を向上させる包括的かつ持続可能なアプローチを示す。また、日本の文化的特性や必要な利害関係者の関与を取り入れることで、資源の循環を最大化し、消費を抑制し、再生可能な社会を構築する。本論文は、日本の市区町村における循環性への進展を認めつつも、必ずしもそれらが自らを循環都市と呼んでいるわけではないことも指摘している。

さらに、本論文は日本に特化した循環都市の定義を提案する。そして、上勝町、大崎町、北九州市という、状況の異なる3つの都市を循環型都市の事例として分析し、最終的には政策立案者が循環型都市の取り組みを促進するための提言を行うことを目的としている。