謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

本年1月1日に発生した令和6年能登半島地震により犠牲になられた方に謹んで哀悼の意を表するとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。まだ予断を許さない状況ではございますが、1日でも早く復旧・復興し、日常生活を取り戻せることを衷心よりお祈り申し上げます。微力ではございますが、弊社もできることを努めてまいります。

昨年は多くの企業によるサーキュラーエコノミーに関する取り組みが進展し、国においてもたとえば下記のような進捗が見られました。

サーキュラーエコノミー移行にはコストや品質等の障壁の存在が常に指摘されますが、こういった課題を乗り越えるべく、いよいよサーキュラーエコノミーの役割が発揮できる基盤を整える体制が充実しました。2020年5月の「循環経済ビジョン2020」公表や、同年10月の菅義偉内閣総理大臣による2050年までのカーボンニュートラル宣言以降にサーキュラーエコノミーに対する注目が集まり、2020年を日本におけるサーキュラーエコノミー元年と認識していましたが、そういう意味では2023年が本当の意味での「元年」だったかもしれません。

弊社では、サーキュラーエコノミーのビジネスやまちづくりへの適用について、現場の実践に触れながらも、「サーキュラーエコノミーの本質とは何か」という問いに常に立ち返り、概念と実践を往復する機会を設けています。本質という言葉が持つ普遍性の上に、日本全体・地域・企業の固有の状況におけるサーキュラーエコノミーはいかなるものかを捉えアップデートし続けることが弊社の役割の一つである、と勝手ながら認識しております。

こういったことを念頭におけば、日本におけるサーキュラーエコノミーは欧州のそれとは違ったものになるかもしれません。地域においても、各企業においても同様です。

昨年、国外ではヘルシンキ(フィンランド)・トゥルク(フィンランド)・ラハティ(フィンランド)・ロンドン(英国)・グラスゴー(英国)・パリ(フランス)・アムステルダム(オランダ)、国内では下川町(北海道)・美唄市(北海道)・鹿追町(北海道)・上勝町(徳島県)・福山市(広島県)・北九州市(福岡県)・大崎町(鹿児島県)・埼玉県など地域での取り組みを視察し、加えて様々な企業とサーキュラーエコノミー関連のディスカッションをさせていただきました。

サーキュラーエコノミーは持続可能な社会を実現するための一つのツールに過ぎない一方で、サーキュラーエコノミーがそれぞれの固有の文脈において、その主体の「起爆剤」と「(地域性や企業固有アセットなどの)再定義の機会の創出」となる可能性を秘めていることを改めて実感いたしました。

今後、ネイチャーポジティブやカーボンニュートラルとの適正な関係を構築し、「トレードオン」へ持っていくことが求められています。2024年は循環度測定策定に向けた議論が進み、消費者への環境主張に関するルール網整備がより進展すると考えられ、システム変革に向けた基盤が整い始めます。さらにサーキュラーエコノミーを素材等一つの観点のみで捉えるのではなく、親和性の高いビジネスモデルや消費者への価値創出など多角的な視点から相乗効果を持たせることなどは、引き続き循環型ビジネス成功に向けた鍵であり続けます。

2024年弊社が注目したい、サーキュラーエコノミー5つのテーマ

上記のような観点から、2024年に弊社が注目したい5つのテーマを下記にまとめました。

1. ネイチャーポジティブやカーボンニュートラルとのトレードオンに向けた動き

ネイチャーポジティブとカーボンニュートラルにサーキュラーエコノミーが寄与することと、トレードオフに陥らないようにリスク管理すること

2. サーキュラーエコノミー推進のための基盤整備

サーキュラーパートナーズにおける日本全体や各製品・素材ごとのビジョンやロードマップ、循環度測定構築や開示に向けた議論、ISO59000シリーズ発行など

3. 地域でのサーキュラーエコノミー推進の多様化

地域資源の持続的活用、公共調達等行政におけるサーキュラーエコノミー原則適用、スタートアップ等事業者支援、連携を通じた資源の域内循環、建設・食・消費における循環型慣行の進展など、地域(地方自治体)の実情に応じたサーキュラーエコノミー施策の展開

4. 循環型ビジネスモデルの深・進化と多様化

例として、サービス化・アフターサービス・セカンドライフとサーキュラーエコノミーの統合、物量管理の最適化を測るデジタルツール、自然資源の持続的活用、AI活用によるサーキュラーエコノミー進展など、様々なビジネスモデルとサーキュラーエコノミーが統合

5. 循環価値の可視化

デジタルツール等を活用した循環価値の可視化など